「受取開始年齢を75歳まで拡大」は
どんなメリットがあるのか?

 次に(2)の「受け取り開始年齢幅の拡大」についてである。

 受け取りの開始年齢は、加入している本人が自分で自由に選ぶことができる。現在は60歳から70歳まで、正確には69歳11カ月までの中から、いつでも受け取り始めることができるようになっているものを、60歳から75歳までの間で選ぶことができるようにするというものだ。

 つまり受け取り開始の幅を5年間広げるということになる。これは公的年金の繰り下げを75歳までに拡大して受け取り開始時期の選択肢を広げることが考えられているため、それに合わせる形で、受け取り開始の時期を遅くすることもできるようにしたものだ。

 ここで注意すべきことは、公的年金と違って、受け取り開始年齢を遅らせても受け取る年金額が増えるというわけではないことだ。公的年金の場合、受け取りを5年遅らせると年金の受給額が42%増える。しかしながら、iDeCoの場合、受け取り開始時期を遅らせるというのは単に運用期間が延びるだけであって、自分で運用をするわけであるから、運用の結果次第で必ずしも増えるとは限らない。

 しかも前述のように仮に65歳まで加入延長されたとしても、それ以降は積み立てができない。しかしながら口座管理料はかかる。したがって、運用である程度の利回りを確保しないと、実質的には残高が目減りしていく可能性がある。70歳以降もしっかりと働いてiDeCoを受け取らなくても生活できるという人で、かつ運用に自信のある人なら、受け取り開始時期を延ばす意味はあるかもしれないが、多くの人にとってはあまり意味のない制度改正かもしれない。