まさに官民挙げての子育て支援だが、たとえ本業でダイレクトに支援できない企業であってもできることはある。それは「子連れ出勤」の解禁だ。学童の多くが午前中から対応しているとはいっても、対応していない学童もあるだろうし、民間の支援サービスを受けられない地域の人もいる。そうした地域にある企業や営業所が子連れ出勤を認めれば、子育て中の親、特にシングルマザーはずいぶんと助かるはずだ。感染予防の見地から、子どもをオフィスに連れていくことを疑問視する人もいるだろうが、幼い子どもを長時間一人で家に閉じ込めておくのも非現実的な話であり、子連れ出勤を次善の策として考えてもいいだろう。

 実際、女性経営者、特にシングルマザーが経営者の会社では、コロナ騒動前から子連れ出勤OKの会社も多く、そういう会社では今回の休校騒ぎでも何も動じていない。テレワークできる企業は別だが、そうでない企業はこれを機会に子連れ出勤を解禁してみてもいいのではないか。もちろん「うちはサービス業だから無理」という企業もあるかもしれないが、街中の家族経営の飲食店を思い出してほしい。子どもが客席テーブルで宿題をやっている光景を見たことがある人も多いと思うが、それで怒る客などいなかったはずだ。であれば、企業系の店舗でもそれができるのではないか。このご時世だから理解されるだろうし、むしろ女性客の好感度はアップすると思う。ぜひ検討してほしいものだ。

「その先」を見据えて
シングルマザーをどう支援するか

 とにかく多くの企業や団体が子育て支援を始めているのは、非常に良いことだと思う。しかしそのほとんどが「緊急対応」でしかない、という懸念もある。緊急事態なのだから緊急対応は当たり前だろうと思う人もいるかもしれないが、そうではない。こういう大きな災害時は緊急対応がもちろん重要だが、「その先」に備えていまから動き出すことが重要だからだ。たとえば東日本大震災の時も、多くの企業・NPO・ボランティアが「復旧」作業に取り組んだ。しかし震災直後から、その先にある「復興」を見据えて東北に入った団体も数多くいた。実際、復興期に入って活躍したのはそういう人たちだ。

 ちなみに大災害が起きると、海外の大手NGOから災害支援チームが送り込まれてくることが多い。もちろんそうしたチームは復旧作業をしてはいるが、その合い言葉は「レジリエンス」(resilience)である。これは「災害前より活力ある地域に戻す」といった意味合いで、つまり彼らは復興を見据えて復旧作業を行っているのだ。