『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第131話は、名門校の「出題ミス」について考える。
1年後に「30人の追加合格」
東京大学現役合格を目指す龍山高校の生徒たちは、過去問の演習に取り組む。先生たちは生徒たちの答案を見て、採点基準を話し合うのだった。
3月に入り受験シーズンも終盤を迎え、国公立受験の中期・後期入試と一部の私立大学入試を残すのみとなった。毎年受験後に必ずと言っていいほど報道されるのが「出題ミス」である。たった1つの出題ミスが、受験生の人生を左右することにもつながる。
過去の重大な事例として真っ先に挙げられるのが、2017年に実施された大阪大学の一般入試における物理の音波問題の不備である。外部から複数回にわたり疑義が指摘されたにもかかわらず大学側の対応が遅れ、約1年後の2018年1月になってようやく誤りを認めて30人が追加合格となる騒動へと発展した。当然ながら他の大学へ進学していた受験生もいたため、批判が寄せられた。
すでに今年(2026年)も、有名中高での問題不備が目立っている。1月に実施された関西の名門・東大寺学園中学校の入試では、理科の問題で正答が複数ある択一問題が出題された。得点の再計算と合否判定の訂正が行われ、当初不合格とされていた受験生の中から新たに14人が追加合格となった。
続く2月には、神奈川御三家の一角・浅野中学校の理科入試において出題ミスがあった。「日本の国鳥で、学名をニッポニア・ニッポン」という生物名を答えさせるものだ。日本の国鳥はキジだが、学名がニッポニア・ニッポンなのはトキである。この問題は受験者全員を正解扱いとして、新たに8人を追加合格とした。
出題ミスに期待するな
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
さらに3月には、都立最難関・東京都立日比谷高校の数学の自校作成問題(都立高校入試では、共通問題を使用する学校と、自作の問題を使用する学校がある)において、公表された正答以外にもう1つの正答が存在することが学習塾関係者からの指摘で発覚。不適切な設問として受検者全員に一律加点を行い、急きょ24人が追加合格となった。
問題として成立していない出題ミスに対する対応としては、「その問題は、全員が正解扱いをする」というのが目立つ。ただ、例えば先述の浅野中学の例において、「スズメ」と答えた受験生と、「トキ」または「キジ」と答えた受験生は同じ理解力だと考えていいのだろうか。学校側の対応はやむをえないのだとしても、やりきれない受験生はいるだろう。
出題ミスに関して言えることは2つだ。まずは、当たり前だが「ミスを期待しないこと」。出題ミスが毎年のようにニュースになるが、それは異常なことであるからで、その裏では粛々と入試が続いている。学校の問題校正プロセスは厳しいため、おいそれと期待してはいけない。
もう1つは、「合否ラインギリギリだと、出題ミスに足をすくわれる可能性がある」ということだ。よく、合格最低点を1点でも上回ったらいい、というようなことが言われる。もちろん結果的には間違いない。ただ、万が一出題ミスで追加合格がでた場合に恩恵を受けるのは、同じ学力でも「たまたまその問題を間違った受験生」の可能性もある。結局のところ、合格最低点ギリギリではなく、十二分な学力を目指すことが重要だ。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







