「なぜオレのことをそんなに憎んでいるんだい?」→大谷が笑いながら答えたひと言グレンデールキャンプ・ブルペンで投げ込む大谷選手 Photo:SANKEI

2023年9月に二度目のトミー・ジョン手術を受け、2024年の間は打者に専念していた大谷翔平。2025年には二刀流選手としての復帰が熱望される中、ドジャースはあくまで慎重な姿勢を貫いた。大谷の才能を最大限に引き出すために、ドジャースがとった戦略とは?大谷復活の舞台裏に迫る。※本稿は、アメリカ人野球記者のビル・プランケット『SHO-TIME 4.0 大谷翔平 二刀流復活と連覇の軌跡』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

大谷の二刀流復帰に向けて
ドジャースが考えていたこと

 ドジャースは大谷翔平のリハビリ予定を前倒しにして早期復帰を促す誘惑と必死に戦っていた。

「短期的に見れば、もっと大谷を急かして早期に復帰させたいという結論に至るのは簡単だよ。われわれの立場からも、あいつの立場から見てもね」

 アンドリュー・フリードマン(編集部注/ドジャース編成本部長)は、ESPN(編集部注/アメリカのスポーツ専門チャンネル)の取材に応えてそう語った。

「けれども、われわれはショウヘイに今後9年間、最高のかたちで投げてもらいたいんだ。つまり、長生きこそが最優先事項なわけで、だからこそ復帰1年目の状態が大切になるんだ。そう考えたら、今ここであまり急かすのがよくないとわかるのではないかな」

 ドジャースが必要とするものと、大谷のみの独特な状況のせいで、解決策も必然的に過去に事例のないものとなった。

 2025年6月初旬に、大谷はチームメイトを相手にライブBP(編集部注/打者を打席に立たせて行う投球練習)で44球を投じた。4月と5月にリハビリを強化して以来、打者と直接対決するのはこれが3回目で、「もう十分に準備できた」と大谷は確信に至った。