ドナルド・トランプ米大統領ほど民主党を結束させる人物は他にいない。これが、スーパーチューズデーの驚くべき結果と、ジョー・バイデン前副大統領が演じたラザロのような復活劇(新約聖書)から得られる最も重要な教訓だ。3日に予備選が行われた14州のうち10州でバイデン氏が勝利を収めるという意外な結果は、幾つかの重要な点を明らかにした。民主党の一般党員の間でのバイデン氏に対する根強い好意、アフリカ系米国人の票が持つ力、そして党穏健派の幅広さといったことである。とりわけ明確に示されたのは、民主党員がトランプ大統領を倒したいという冷徹な欲求を抱いて投票所に向かったことだ。意見が一致する候補よりトランプ氏を倒せる候補を選ぶことを投票者が重視していたことが、各州での出口調査で次々に明らかになった。その候補として見られたのがバイデン氏だ。