3月14日のダイヤ改正で、東海道新幹線は1時間当たりの「のぞみ」の運行本数を2割増やす。地下鉄並みの運行間隔で新幹線を走らせる難易度は非常に高い。新型車両の導入はもちろん、設備の変更や現場である駅スタッフの声を聞き取るなど、足かけ約5年にわたるビッグプロジェクトの舞台裏を担当者に聞いた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

「いつでも乗れる」を
実現するためのダイヤ改正

「のぞみ」増発は5年越しのプロジェクトでした。
3月14日のダイヤ改正で実現する「のぞみ」増発は非常に難易度の高いプロジェクトだった Photo:PIXTA

 JR東海は3月14日、東海道新幹線のダイヤ改正を実施する。1時間当たりの「のぞみ」の運行本数は現在の最大10本から最大12本へと、2割増加。日中の「のぞみ」の東京~新大阪間の所要時間も、現在は2時間27分から2時間37分まで最大で10分の開きがあるが、改正後は2時間27分または2時間30分にそろえられ、全ての「のぞみ」の所要時間が2時間30分以下となる。

 これらダイヤ改正の概要については「東海道新幹線の運行間隔が地下鉄並みに短縮!JR東海の工夫とは」の記事で紹介した通りだが、今回、東海道新幹線のダイヤ作成を担当する新幹線鉄道事業本部運輸営業部輸送課の下村新さんに話を伺うことができたので、ダイヤ改正のねらいとダイヤ作成の裏側について改めてお伝えしたい。

 東海道新幹線のダイヤは、普段私たちが通勤などで利用する鉄道のダイヤとは異なり、平日ダイヤ、休日ダイヤといったような単純な形をとっていない。利用者の数は月ごと、曜日ごと、日ごとに刻一刻と変わっていく。これに対応すべく東海道新幹線のダイヤは、定期列車のほかに特定の日だけ走る臨時列車が細かに設定され、運行本数は毎日のように変わっていく。

 そうした中で、JR東海が理想としているのは、常に空席が確保されており、直前でも希望の列車の指定席を買えるような状態。日ごとに変わるダイヤは「のぞみ」の乗車率がほぼ一定になるようにコントロールされているという。下村さんは「ダイヤは鉄道会社にとっての商品。指定席に座れないお客様がいるのは、商品が品切れしているのと同じです」と語る。

 ところが、東海道新幹線の利用者数は2009年以降、右肩上がりで増えている。「のぞみ」の1日当たりの運行本数は2009年の193本から2018年には226本へ約17%増加したが、利用者数と乗車距離を掛け合わせた「輸送人キロ」は427億人キロから583億人キロへ約37%増加しており、金曜日の夕方など混雑時間帯は指定席が満席になることが多かった。事実、東海道新幹線の2018年度の輸送効率(1日当たりの平均乗車率)は66.4%で、これは地下鉄銀座線に匹敵する数字である。

 今回のダイヤ改正の最大の目的とは、こうした混雑時間帯に「のぞみ」の本数を1時間当たり2本追加することで、「品切れ状態」を解消しようというものだ。