句点の多さから
思いの強さを汲み取る

 メールやメッセージだと1対1の閉じた空間になるため、普段とは違う自分を見せることもできる。頼りになる上司に見えている男性が、年下の女性へのメッセージでは「お仕事疲れちゃったよ(泣いている絵文字)○○ちゃんと飲んで癒されたいな(ウインクの絵文字)(ビールの絵文字)」と甘えん坊になることがある。逆に、普段は無口で頼りない男性が、メッセージのやり取りでは妙に力強いことを言う場合もある。

普段は気弱な40代男性(当時)から届いた励ましのメッセージ

普段は気弱な40代男性(当時)から届いた励ましのメッセージ

 句点を多用するおじさん構文には、いくつかの理由がある。ひとつは、区切ったほうが読みやすく意図が伝わりやすいのではないかというズレた気遣い。もうひとつは、文章作成としてではなく自分の呼吸で入れてしまう手癖。もうひとつが、感情が入って力がこもってしまっているときだと思う。

 普段はあまり目立たなく、職場でも自分の理想ほどには重用されていなさそうな男性。だからこそ、嫌なことをやり過ごす方法や、不満や憤りがあっても耐えたりポジティブな言葉に変換したりする方法をたくさん知っていた。

 わたしが仕事で少し嫌なことがあったときにそれを伝えると「頑張ったら、きっと見返りはあるんよ、人生はね! 嫌なことは、その日で忘れよう!!」と、普段よりも句点の多い力強いメッセージが返ってきた。おじさんの人生訓なのかもしれない。それを年下のわたしに「披露するぞ!」「使うときが来たぞ!」という意気込みが圧となって伝わってくる。

 人に何かを教えるときやアドバイスするときに、つい気持ちが大きくなったり高揚してしまう人は少なくない。若いころはそんな大人たちを笑っていたかもしれない。だが、30代になると、ときどき自分や一緒になって笑っていた同世代が同じ轍を踏みかける場面に遭遇する。また、人の役に立つのは嬉しいことだ。嬉しい気持ちを抑えられないのだとしたら、それはかわいらしくも感じる。