新幹線開業の裏で
並行在来線問題が発生

 一方で、福井と関西圏の関係は敦賀開業によって少々ややこしくなる。JR北陸本線の金沢~敦賀間が経営分離され、並行在来線となることで、大阪と金沢を結ぶ特急「サンダーバード」や、名古屋と金沢を結ぶ特急「しらさぎ」の運転区間が敦賀まで短縮される。敦賀駅では新幹線ホームの直下に特急専用ホームを整備し、乗り換えしやすい構造とする計画だ。

 ただ、敦賀~福井間は約54km。所要時間は在来線特急の30分強から10分程度短縮される予定だが、敦賀駅で在来線特急と新幹線の乗り換えが発生するため、トータルではほとんど所要時間は変わらない。乗り換えが増える上に、料金は高くなる。福井からすれば、北陸新幹線が新大阪まで全線開業しない限り、新幹線の効果は限定的だというのが正直なところだろう。

 しかし現在の計画では、北陸新幹線敦賀~新大阪間の開業は2046年度を予定しており、北陸新幹線の「対東京」としての性格は当面、変わらない。これに対して関西経済界は、北陸新幹線新大阪開業を早期に実現するよう訴えているが、2兆円以上と試算される建設費の財源などハードルは高く、実現の見通しは立っていない。

 それよりも目下の課題は、北陸新幹線開業によってJR東日本・JR西日本から経営分離された並行在来線の今後である。分離によって誕生した新潟県の「えちごトキめき鉄道」、富山県の「あいの風とやま鉄道」、石川県の「IRいしかわ鉄道」は、JRと別の運賃体系になることによる激変緩和措置として、開業から5年間はJR時代と同水準に運賃を据え置くとともに、JR線と乗継した場合の乗り継ぎ割引を設定していた。

 だが、開業から6年目を迎えるにあたって、3社の中でも特に経営が厳しい、えちごトキめき鉄道が4月1日から普通乗車券、通勤・通学定期の平均30%の値上げを決定。JR西日本とJR東日本も、各社との乗り継ぎ割引を今年3月31日で終了することを発表している。

 新型コロナウイルスの影響で通勤・通学の輸送需要は大きく減っている。値上げが更なる乗客離れを招く恐れも否定できない。新幹線という光と並行在来線という影。地域の交通網を維持できるかという問題は、開業から6年目を迎える今年以降が正念場となる。