米国はおびえ、金融市場に激震が走った。歴史的規模の試練に国内の諸機関が対応できるか、深刻な疑問が生じていた。新型コロナウイルス感染拡大のことだろうか。いや、これは2008年当時の「金融メルトダウン」の状況を総括した表現だ。米国の金融、政治、社会などの諸機関が、今のように信頼が揺らぐ瞬間に直面したのが08年だった。当時のケースでは、こうした諸機関は無傷ではすまなかった。実際、われわれはいまだにその影響に囲まれている。つまり保守系の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」とポピュリストの台頭、国民の信頼感の全般的な低下などだ。ある意味、その結果として「エスタブリッシュメント(既存支配層)」が衰えたことが、ドナルド・トランプ大統領の選出に追い風となった。