モテるおじさんに
見られる2つの特徴

「あとは若いもんに任せる」と現役を降りたような顔をしていながら、なんだかんだ結構すてきな女性を連れているおじさんを見ると、どうやら2つの点に優れている。

 第1に、相手の選び方。

 モテる男の条件は老いも若きも、自分を好む女性を見分ける能力にある。いくらすてきなおじさんでも、「年下のペットみたいな男の子が好き」という女性相手ではなかなか勝ち目は見えてこない。デスパレート(死に物狂い)に結婚をしたがっている女性が、いくらすてきでも既婚者の男性の誘いには乗らないだろうし、筋肉が好きという女性はいくら才能があっても虚弱体質の複雑数学系の学者にはあまり興味を示さない。

 単純なことだが、モテそうなのにモテない人というのは男女ともに、戦う場所を間違えている場合が多い。

 問題は2つ目、自分のアピアランス(外見)である。

 サザエさんの中の波平さんやアナゴさんばかりが雁首(がんくび)をそろえていた時代に比べれば、今は地下鉄に乗っていても、洗練された中年以上の男性は随分増えた。その分、自分が洗練されていると勘違いしている男性の数もうなぎ上りに増えた。

 全身シュプリームのような若者に人気で比較的高額なカジュアルブランドを身にまとっていたり、クロムハーツのような癖の強いブランドのロゴマークが見えるようにそろえていたり、そういったおじさま方のファッションは、女性受けは波平より悪い。

 誰だって、老いぼれて枯れているよりは、若々しく咲いていたいだろうとは思うが、気持ちや行動がいい意味で枯れておらず、若々しいというのと、若作り、というのは全くの別物。

 前者が自然と香り立つものであるのに対し、後者は生乾きの雑巾から固く搾り出すようなものである。無理しているように見えるし、自分に対する客観的な評価ができていないようにも感じられるため、周囲の評価は冷ややか。そこで辛うじて出る褒め言葉こそ「オシャレですね」である。

黒ニットおじさんが
オシャレと言われた訳

 以前、西麻布にあったXROSS(クロス)というクラブに、毎週金曜日に現れ、「黒ニットおじさん」と揶揄(やゆ)される50代の男性がいた。

 黒ニットとは彼がいつも被っていたニット帽のことで、毎回、その店に慣れていない若い女性をナンパしては一緒に踊り、腰に手を回しては気味悪がられるようなちょっとした有名人だったのだが、彼の特徴を一言で言うと、不相応な若作りが全く成功していないことであった。

 ニット帽にTシャツや薄手のカットソーなどを合わせて、首からはやや時代遅れのティファニーのアトラスシリーズのシルバーアクセサリーを下げている。そして、クロムハーツ風のごついベルトを締め、足元はスニーカー。

「いい感じ」「ゲットする」などの言葉を乱用し、無理やり若い女性にこびるその姿は、その場ではやや行き過ぎた年齢をより際立たせ、彼の着ている服をいとも簡単に着こなす20代男性たちの良い引き立て役になっていた。

 この黒ニットおじさんに対して、若い女の子たちが辛うじて発していた褒め言葉は「オシャレですね」だった。