「マスクを出せ!」
ドラッグストアの悲鳴
先の見えない、えたいの知れない新型コロナウイルスの恐怖が世界中に広まり、人の心に暗い闇を落としています。マスクを求める人の長蛇の列は、見えないウイルスへの不安の象徴ともいえるでしょう。
品切れが続出するマスクはさまざまな社会問題を提起しています。そのひとつが、ドラッグストアにて、マスクを求めてモンスター化する消費者の姿です。
「マスクはないのか!?」
声のトーンは、最初からけんか腰です。「すみません。品切れなんです」と、従業員が答えるや否や、さらにボリュームは上がります。
「じゃあいつ入荷するんだ!」
「なんでいつ入荷するのかが、わからないんだ!店長(社員)を呼べ」
「なんで店長(社員)なのにわからないんだ!」
「それでも責任者か!クソ、なんの役にも立たないやつだ!社会のゴミだ!」
すでにモンスタークレーマーと化した客の罵声は唾のしぶきとともに、従業員に降り注ぎます。もしも、この相手が陽性だったら感染は免れないほどです。限度を超えた“カスハラ”状態ですが、さらに追及は続きます。
「なぜ、お前たちはマスクをしている。それを譲れ、顧客第一だろ!」
「自分だけよければいいのか!」
何度も何度も「すみません」「申し訳ありません」を繰り返す、従業員への理不尽な要求はとどまるところを知らず、ヒステリックで殺気を帯びた罵声に恐怖心は募ります。もはやウイルスよりも、不安とイライラを爆発させる人の心の闇のほうに恐怖心を抱くでしょう。モンスターの攻撃によって、いつ何時、犯罪やカスハラの被害者になりかねない恐怖は計り知れないものがあります。