新型コロナウイルスのパンデミックを「これから確実に起こること」と規定して、そこから中国を除外しているので、「今後起こる新型コロナウイルスの蔓延はヨーロッパのせいだ」と明言したに等しい。

 3月11日から3日間をかけて、いわば中国外しとヨーロッパへの責任転嫁を達成したわけである。

 実際、この会見の直後からマスメディアの関心は、中国からヨーロッパにシフトとしており、「ヨーロッパ各国がいかにパンデミックを抑えるか」に課題が変わってしまった。

 テドロス事務局長は11日の会見で、「対応能力が足りないままで格闘している国も、リソース不足のまま格闘している国も、解決策なしに格闘している国もある」として、暗に発展途上国の現状に言及している。

 同時に、新型コロナウイルスを抑制不能にまで広げてしまった国として、先述の通り、イタリアとイランに限定してしまったので、アフリカで新型コロナウイルスが爆発的に広がれば、これはイタリアを中心としたヨーロッパのせいにされてしまう。

 イギリスBBCは、貧困国が多く医療体制が十分ではないアフリカで、新型コロナウイルスが拡大し始めたら「破滅的な状態になるだろう」と予測して、効果的な予防策を講じる必要性に言及している。

 もしアフリカで爆発的に広がれば、関係の深いヨーロッパを中心にした先進国が対策に当たらざるを得なくなり、新型コロナウイルスのもともとのepicenterである中国の責任が忘れ去られてしまいかねない。

習近平との会談後
中国政府を称賛

 この見事な「中国外し」のための会見は、中国とWHOが共同で作り上げたものではないか、と筆者は考えている。

 今年1月28日、テドロス事務局長はいち早く北京を訪問して習近平主席と李克強首相と面会している。