選別される銀行#08南都銀行の橋本隆史頭取 Photo by Takahiro Tanoue

異例の人事が地銀業界で注目を浴びた。昨年、金融庁の元幹部が44歳(当時)という若さで奈良県の南都銀行の副頭取として招聘されたからだ。新たな経営体制の下で南都銀は今、猛烈な速度で店舗と人員の削減を進めている。特集『選別される銀行』(全15回)の#8では、橋本隆史頭取と石田諭副頭取が、その背景を語る。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

奈良の南都銀行で異例の人事
金融庁元幹部が44歳の若さで副頭取就任

――石田さんは昨年、金融庁幹部の立場から南都銀行副頭取に転身されましたが、地域銀行を監督する立場から地銀を経営する立場に移って、見える景色はどう変わりましたか。

石田 業界が厳しい状況だという認識に変わりはなく、やはり現場は大変というのが一番だ。一口で言えば、理想を語ることと実際に現場を動かしていくことのギャップがすごく大きいということだろうか。

 実際に組織を動かす上では、例えばリーダー一人が「こうやれああやれ」と言うだけなのは正しくないだろう。その場は動くかもしれないが、それを定着させなければ意味がない。さらに、行員に自発的に動いてもらう必要がある。その仕組みづくりにかなり苦心している。

 だから、ビジネスモデルの変革に注力しつつ、それを行員に理解させ、行動に移してもらうところまで持っていくことの大変さが、金融庁にいるときの私には分からなかったという思いが正直ある。大変なのは当然想像できたが、実際に自分でやってみて改めて実感した。

――石田さんを登用したのは橋本さんだと認識していますが、どういうきっかけで南都銀行に呼んだのでしょう。

橋本 彼と初めて出会ったのは3年くらい前。当時、金融庁で地域金融を担当しており、モニタリングのために南都銀行に来てもらった。彼とはその後、3カ月なり6カ月なり定期的に対話をしてきた。継続して話をする機会があったというのがベースにある。たまたま一昨年の秋に金融庁から(経営共創基盤に)戻るということになり、「じゃあ来てくれ」と言った。