先週、仕事から帰った会社員のカン・ミンキュンさん(30)は自宅のドアにテープで貼られた衝撃的な通知をじっと見つめた。そこには「新型コロナウイルスの検査を受けてください」と書かれていた。
その日、カンさんが住むソウル中心部のアパートの住人1人に新型ウイルスの陽性反応が出た。地域の「災害安全本部」はカンさんに48時間以内に検査を受けるよう勧め、近くの医療機関の住所が記載されていた。カンさんはその晩、医療機関に向かった。検査は無料で、10分で終わった。
翌日の午後には新型ウイルスに感染していないことを知らせるメールが届いた。「ほっとした」とカンさんは言う。「これでいつもの生活を続けられる」
カンさんの経験には新型ウイルスをめぐる世界で最も積極的な検査方針がよく表れている。保健専門家によると、同国の感染者数が最近、8000人程度で横ばいになったのは主にそうした検査方針のおかげだという。拡大抑制に成功した韓国は新型ウイルスに見舞われた国の先行モデルとなった。
韓国では16日までに25万人以上が検査を受けた。国民の200人に約1 人が検査を受けた計算で、米国や欧州の検査数をはるかに超えている。
韓国が検査重視の対策を取るに当たって、制約は少なかった。同国には国民皆保険制度があり、さらに、包括的な感染症対策法によって迅速に新型ウイルス対策を取ることができた。医師が検査を勧めた場合や、感染者と接触した可能性があることが分かった場合は、検査は無料で行われる。
先月4日、韓国政府はソウルに本社を置くKogene Biotechが開発した同国初の新型ウイルス検査キットを承認した。このとき、国内で感染が確認されていた患者は16人だけだった。同社幹部のペク・ミョア氏によると、検査キットの配布は3日後に始まった。その後、3社が10日間の審査を経て、検査キットの生産を開始する権利を取得した。2月18日に31人だった感染者数が2週間で5000人近くにまで急増したが、韓国は備えができていた。