米国民は、これまでと同様に変化に適応することで、新型コロナウイルスをめぐるパニックを乗り越えるだろう。しかしワシントンのパニックについては、それほど安心できる状況ではない。米国の政治家たちがいつものように、十分な思慮や経済的論理を欠いたまま慌ててお金をばらまこうとしているからだ。少なくとも米連邦準備制度理事会(FRB)だけは17日、差し迫った経済問題に対処する措置を講じた。これらの措置を1つずつ取り上げていこう。まずドナルド・トランプ米大統領は17日、すべての米国民に1000ドル(約10万7000円)の小切手を支給するというミット・ロムニー氏とスティーブン・ムニューシン財務長官の提案を支持したようだ。これは、政府の指示による小売店などの事業閉鎖措置で仕事や収入を失う人々への支援策となる。ただ米議会もこうした問題に対処するため、失業保険やフードスタンプ(低所得者向け食料購入補助制度)、その他の所得移転措置の強化のほか、有給病気休暇付与の義務付けなどに動いている。これは真に困窮している人々を支援する策として、小切手の一律支給よりはるかに好ましい。1000ドルを受け取る人々の中には、それを必要としていない人もいる。