人生、何がおこるかわかりません。順調にいくこともあれば、逆風にさらされることもあります。経済状況が混とんしている今、お金こそが命綱です。そんな大切な命綱ですが、あなたと伴侶の二人を支えるだけの強度はありますか。なにかのための備えは日頃からきちんとやっていく必要があります。急に慌てても間に合わないので、元気な今のうちから少しずつ準備を始めていきましょう。
そこで、ご夫婦や子ども向けにお金の教育活動をしているお金のソムリエ協会会長による新刊『夫婦1年目のお金の教科書 夫婦生活はお金の相性で決まる!』から、夫婦1年目がよくモメるテーマから生まれた疑問を基に、新婚さんはもちろん、結婚を控えているカップルから熟年夫婦に至るまで、お金が増えて貯まる最高の家計術を42項目にわたって紹介していきます。

「税金+社会保険料」と
同額を自動積み立てにする

 生活費やおこづかいを使って余った金額で貯めれば、確かにストレスはたまりません。でもその代わり、お金も貯まりません。人生の三大出費(教育費、住宅費、老後資金)に備えるためには、金額を決めて、毎月コツコツと貯める必要があります。

 悩ましいのは、いくら貯めればいいのか。そして、どうやって貯めればいいのか、です。

 貯める金額は、生涯の世帯収入がいくらか、あるいは子どもの教育費がいくらかで大きく変わってきます。1億人いれば1億通りの金額と方法があるのでキリがありませんが、自分に当てはめたらどうなるのかをイメージできるように、平均値を使ったモデル例を使ってお伝えします。

 教育費は、子ども2人分で実質600万円とお話ししましたが、1000万円のつもりで積み立てないと貯まりません。

 住宅費は、本書では約3600万円と仮定しています(借りる場合は利息もかかります)。

 老後資金は、2000万円貯めなくても大丈夫なケースがいろいろありますが、ここでは2000万円必要という前提で考えてみます。

 これら3つを合計すると三大支出全体で約6600万円必要になります(ローン利息を除く)。教育を充実させたい方や都市部に住む方などは、もっと上振れします。

 これに対して生涯収入はどれくらいになるのか?

 男性正社員の生涯賃金はざっくりベースで平均すると3億円前後、女性非正規社員の生涯賃金はざっくりベースで1億2000万円前後と推測されます。

 そこで、夫婦合算の生涯賃金を額面で4億2000万円と仮定してみましょう。税金と社会保険料は合計で約2割前後なので、合算で8000万円強になります。したがって、給料とボーナスから天引きされる税金と社会保険料の合計額と同じ金額を積み立てれば、余裕で6600万円以上貯められる計算になります。

 また、手取り合計額は3億4000万円になるので、6600万円÷3億4000万円=約2割です。手取り収入の2割を貯めていく方法でも、なんとかクリアできそうです。では具体的にどうやって貯めればよいのでしょうか? 答えは「確定拠出年金、小規模企業共済、財形貯蓄、積立定期預金のような、自動積立方式の口座を作る」です。次回、お話しします。