中国や日本の医師の一部が、新型コロナウイルスによる重症の肺炎患者の治療に副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)を使用し、物議を醸している。世界保健機関(WHO)が臨床治験を除いてステロイドの投与を避けるべきだとしているからだ。ステロイドは一般に炎症を抑える働きがある。そのため、新型ウイルス感染で重症の肺炎に陥った場合、過剰な免疫反応を抑える治療薬として医師の頭にはステロイドが思い浮かぶのだ。医師らによると、ウイルスに感染した肺に対し、炎症はウイルスそのものより深刻なダメージを与える場合がある。医師の間では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による1万人余りの死者のうち相当な割合がこの種の反応に関連している(すなわち実質的に自分自身の体を攻撃してしまう)との見方もある。