参謀は目立ちたがり、前に出たがり、いずれトップに立ちたい、という野心家でいい、と私は思っています。現場のマネジャーたちをモチベートするには、そのようなパワーが必要だからです。それに対して補佐は、実務タイプで、野心がなく、社長に対する忖度もない人が望ましいと考えます。そのような人材を見つけられるかどうかが企業組織変革の1つの鍵となります。

プロ経営者の役割は「破壊」ではなく「変革」

 言うまでもありませんが、プロ経営者の役割は組織の「破壊」ではなく「変革」です。旧経営者の立場になってみれば、それまで自分がかじを取ってきた会社を外部の人間に完全に任せるのは相当の決断であると思います。任される立場の人間は、心底腹をくくって期待に応えなければなりません。その基盤となるのは「信頼」であると私は考えています。あなたが守ってきた組織を私は壊そうとしているのではありません。変えるべきところを変えることによって、組織のポテンシャルを引き出そうとしているのです。もちろん守るべきところはしっかり守っていくつもりです──。そんなメッセージを伝えることによって、旧経営者と従業員の信頼を得ることが何よりも重要です。

 ベイスターズの社長になったとき、最も重要なのは、この会社組織とチームが野球を愛する人たちのものであり、横浜を愛する人たちのものであることを絶対に忘れないことだと私は考えました。その本質を守るためにこそ変革が必要なのだ、と。

 別の言い方をするなら、その会社なり組織なりが持っていたもともとの魅力を最大化すること、時代や時代環境とその時代の一般生活者に評価され共感されるものに進化させることが変革の目的なのであり、その魅力をなくしてしまうような変革に意味はないということです。また、魅力を一からつくろうとすることにも意味はありません。一から魅力をつくり出したいのであれば、新しい会社を立ち上げれば済むことだからです。

「信頼」を基盤とし、それまでの歴史の継続性を踏まえて、その会社の魅力を最大化していくこと。それがプロ経営者による変革の本質なのです。