「一発で倒産」レベルの罰金も
ウイルスより怖いのは当局

 韓国や日本での感染者(クルーズ船での感染者も含む)が増加していると報じられると、マンションの入り口に韓国や日本から来た人の立ち入りを禁止するとの看板も登場するなど、殺伐とし始めた。

 政府によってインターネットへの接続制限が行われている中国だが、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)などを通じて日本のサイトやNHK、民放各局のテレビ報道へ接することできる中国在住の日本人ですらも、日本政府の対応は甘い、徹底対応している中国のほうが安全だと口にする人が増えていた。

 3月上旬に複数の中国人に話を聞くと、この新型ウイルスは怖いと、未知なるウイルスへの恐怖を語る。しかし、さらに話を聞いていくと、もっと怖いのは公安や政府など公権力であることも浮かび上がってくる。

 ある飲食店のオーナーは、店内飲食停止の要請があったため、換気して席数を減らすなど注意して営業を続けていたら、公安が踏み込んできて違反営業としてオーナーと客も拘束されたという。スタッフが添乗員として世界中を飛び回る旅行会社では、社員など関係者から1人でも新型コロナウイルス感染者が確認されると一発で倒産するほどの罰金が科されるため、社員を出社させられなかったという話も聞いた。

 文面上は柔らかい文体で書かれていたが、実際は、強制力ある禁止だったわけだ。特に中国は政府や公安の力が強大なので反抗できるものではない。

 まだまだ終息が見えない新型コロナウイルスだが、今回の件で、習近平政権は今後の国内統治への自信を深めたのではないか。つまり、共通の敵に対する恐怖心を巧みに活用すれば、現代でも中国共産党政権が内政をコントロールできると再認識したのではなかろうか。

 中国政府は、大切なのは国民の命を守り抜くことと、最初に国内へ宣言している。政府として当たり前のことをそうも堂々と言われてしまえば、普段はあまり政府を信用していない中国人でも表立って反対できる人は少なくなる。

 海外旅行もスポーツも映画も、すべて政府にとって内政手段の1つという中国が、今回の新型コロナウイルスを最終的にどう終息させるかが、今後の共産党の支配寿命を左右することになるのかもしれない。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))