リー・ソンさん(53)が夫から受け取った最後のメッセージは、OKサインの手が描かれた絵文字だった。それは肺炎で入院した後、回復しつつあることを妻に伝えようとしたものだ。その4時間後、リーさんは病院からの電話で夫の死を知った。リーさんはそれまでの何日間か、夫のホン・リンさん(53)の命を救おうと奔走していた。世界で35万人以上が感染し、1万5000人以上が死亡している新型コロナウイルス感染症に2人とも冒されていたのだ。新型コロナウイルスの特徴の1つは、家族内で感染が広がることだ。パンデミック(世界的大流行)の被害の中心が欧州と米国に移る中で、破滅的結末を招くこうしたパターンが繰り返される恐れが大きい。リーさんが住み、これまで流行の中心地だった武漢では現在、新規感染者が減少している。しかし彼女を含めた何千もの人々は今も、このウイルスによって彼らの生活がいかに突然、そして無慈悲に打ち砕かれたのかを振り返っている。