今後、感染拡大が
米国経済に与える影響

 今回の感染拡大によって、米国の医療制度の問題、限界が露呈された。「オバマケア(医療保険制度改革法)の廃止を目指すトランプ政権が事態を悪化させている」との懸念はしていた。医療制度は米国経済が抱える大きな問題の一つだ。

 わが国と異なり、米国は国民皆保険制度を導入してこなかった。個人は、収入などに応じて民間の保険会社が提供する医療保険に加入し、相応の医療サービスを受ける。低所得者は医療保険に加入することが難しかった。オバマ前政権はこの状況を改善しようと保険制度改革に取り組んだ。トランプ政権はその廃止を目指している。

 そのため十分にお金を持たない人が、感染から身を守ることが難しくなってしまっている。民主党の大統領選挙戦の中でバーニー・サンダース候補は「1%の富裕層のために、他の99%が犠牲になってはいけない」と主張しているが、まさにそうした事態が現実のものとなりつつある。

 感染拡大によって、米国の労働市場は急速に不安定化し始めた。ニューヨーク市のレストランなどでは、人手不足から一転して解雇が急増している。3月に入り新規失業保険申請件数は急増に転じた。米国経済は急速に減速し、景気後退のリスクが高まっている。一部には、4月に米国の就業者は200万人減少するとの見通しも出ている。そうした展開が現実のものとなれば、雇用・所得環境は悪化し、医療保険負担に耐えられなくなる人が増える展開も考えられる。

 気がかりなのは、米国全体で危機感が共有できていないように見えることだ。連邦政府が非常事態を宣言したにもかかわらず、ニューヨーク市内の公園では人々が集まる状況が続いた。しかも、ニューヨーク州の感染者の半数程度が10~40代とみられる。医療体制が限界を迎えつつある中、今後も米国での感染が拡大すると仮定すると、新型コロナウイルスが米国の実体経済を一段と停滞させる可能性は軽視できない。

韓国が危惧する
経済危機リスク

 そんな中、3月下旬、日米欧を中心に世界的に株価が反発した。それは、価格変動リスクのない現金を選好する投資家心理の一部に、徐々に落ち着きの兆しが出始めたことを示唆する。今後の金融市場、および各国経済の展開は、欧米等の感染が落ち着くまでにどの程度の時間がかかるかに左右されるだろう。