新型肺炎は
間違いなく世界経済の大きなリスク要因
中国を中心に世界的に、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。そのインパクトを過小評価することは適切ではない。新型肺炎の害そのものもさることながら、中国の一部の主要都市ではほとんど人の動きがみられない状況になっている。それに伴い、多くの工場で実際の生産活動が休止している。それは、間違いなく世界経済の先行きにとって無視できないリスク要因だ。
2000年代に入り、中国は“世界の工場”としての存在感を高めた。自動車部品をはじめ、中国の生産動向は世界のサプライチェーンに重大な影響を及ぼす。半導体などIT先端分野においても中国の需要動向の影響は大きい。
中国での生産活動が停止されると、サプライチェーンを通じて他国の経済活動にも支障を与える。その一例が韓国だ。韓国は中国との関係が親密で、すでに自動車部品の調達に支障が出ており、韓国の代表的な自動車メーカーである現代の工場では、生産の中止を余儀なくされている。
オリンピックを控えたわが国や、アジア新興国などへの観光にもマイナスの影響が及んでいる。例年、春節の連休前後に移動する人の数は30億人に達するといわれる。大規模な人の移動が制限された影響は計り知れない。