人に起因するストレス、仕事に起因するストレス、環境に起因するストレス。現代人は日々、ストレスに直面している。そして、ストレス耐性があることこそ、ビジネスパーソンとしての成長の証しといわれているが、果たしてそうだろうか。実は、ストレス耐性がない人ほど、ストレスをコントロールできるようになる手法がある。もう、ストレスを我慢する必要はないのだ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

上司と仕事は選べない…
我慢するしかないのか

ストレスを感じやすい人は、決して不利ではありません。ストレス耐性が高い人よりも、ストレスを敏感に感じ取る人の方が、改善できる可能性を秘めている Photo:PIXTA

 ビジネスパーソンにストレスはつきものだ。顧客からの申し出、上司からの無理難題、部下のわがまま…人付き合いに気苦労は尽きない。それだけではない。自分がやりたい仕事ばかりをできるわけではない。仕事にストレスを感じたことのない人はいないに違いない。

「上司と仕事は選べない」とはよく言ったもので、だから、「我慢して取り組め」と続く。「成長とはストレスに耐えられるようになることだ」「ビジネスパーソンの真価はどれだけストレスに耐えられかで決まる」と豪語する人もいる。ストレス耐性を採用基準や評価に盛り込んでいる企業は少なくない。

 ビジネスパーソンとして、ストレス耐性を高めることは、それほど重要なのだろうか。私は、逆の考え方をしている。ストレスに耐える必要はない。耐えてしまっては、ストレス源を解消できなくなる。ストレスに耐えないで、慣れないで、ストレスを敏感に感じ取り続けられる人ほど、ストレスを解消しやすいということを、声を大にして言いたい。

 私は、ストレスを、人に起因するストレス、仕事に起因するストレス、環境に起因するストレスの3つに大別している。

 環境に起因するストレスは、災害や天候、職場の空調や環境、テレワークであれば自宅の状況などの原因があって高まるストレスだ。年度の替わり目はオフィスや職場環境が変わる人も多い。ストレスを感じやすいタイミングだ。新型コロナウイルスの感染拡大も職場環境に大きく影響を及ぼし、国民のストレスを増大させていることは間違いない。

 環境に起因するストレスは、例えばオフィス空調が寒く感じて、しかし個別に調節がきかない設定であれば、各自で暖かくする工夫をすることで解決できるかもしれない。周囲の騒音が気になるのであれば、仕事によっては、ノイズキャンセリング機能の付いたヘッドフォンをしたり、耳栓をしたりして仕事をすることが許容されているオフィスもある。

 私が実施しているストレス解消スキルを高めるプログラムの参加者に聞くと、「環境に起因するストレスは、例えば災害とか天候などが原因であれば、諦めがつく」「実施できることは限られているが、自分で工夫できることは見つけやすい」と言う人が多い。それに対して、人や仕事に起因するストレスは、解決策の見当がつきにくく、ストレスが長引きやすいと感じている人が多いようだ。

 しかし、実は、人や仕事に起因するストレスを、誰でも、とても簡単に、解消できる方法がある。それは、他人と自分のモチベーションファクター(意欲を高める要素)のギャップを解消する方法であり、仕事に起因するストレスにも応用できる。