パートで働く人には、正社員とは違う悩みがある

 そのテレビロケに行くまでの私の考えは「社会保険の壁を超えて収入アップを目指しましょう。いきなり壁を超えるのが難しいなら、損をする時期があったとしても数年かけて、手取り回復分岐点以上の収入を目指してみては」というもので、当コラムで書いたこともある。

 しかし、スーパーのバックヤードでパートさんに向けて、前述のグラフのボードを使いレクチャーしていると、「確かに働き損になるのは、嫌だろうな」と感じた。時間給で働いてみないとわからない感覚なのかもしれない。

 さらに「働く時間の捻出」が難しいこともパートさんの話を聞いて実感した。従業員500人以下の会社で働き、パート収入を100万円くらいに抑えていた人が「130万円の壁」を超え、手取り回復分岐点の153万円以上にするには、今より1.5倍の時間働かねばならない。週4日のパートを週5日にし、さらに1日当たり1~2時間増やす。子どもが小さかったり、家事を妻1人で担っていたりすると、1.5倍の時間を捻出するのは難しいだろう。

 パート勤務だと、原則保育園に預けられない。子どもが小さいと幼稚園にいる間(多くは午前中のみ)しか働く時間をとれないのだ。だったら正社員になろうと思っても、正社員にならないと保育園に入園申し込みはできない。

 ロケのときには、それぞれが家庭の事情を話し出し、パート妻は正社員妻とは異なる悩みを抱えていることを痛切に感じた(頭でわかっていても、実感としてわかっていなかったのだと思う)。それ以降は「数年間の損は覚悟で壁超えしましょう」なんて言わないと決心をした。

社会保険に加入するメリットは
年金アップと傷病手当金

 年収100万円に抑えている人が、「106万円の壁」に該当する企業で働くならどうだろう。「106万円の壁」の手取り回復分岐点は、125万円。1.25倍の時間を働けば、「働き損」にならなくて済む。

 妻が社会保険に加入して働くなら「106万円の壁」の会社で働くのがいい。