非常事態宣言下で
タイ2号店を開店
いま手元に1枚のメモがある。書かれたのは2019年9月ごろ。タイ、香港、シンガポール、マレーシアという国名と地域名が並び、そのすぐ横には順に30、20~30、15、15の数字。
このメモは、その2年前から始まったディスカウントストア「ドン・キホーテ」のアジア進出をめぐり、経営最高首脳がひそかに温めていた10年後(2026年)の事業目標「100店出店計画」の内訳だ。内々に計画されていた攻略の主な舞台は、アジアで最多店舗数のシンガポールではなく、タイと香港である。
新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる東南アジアのタイ。感染者はほぼ連日にわたって100人を超え、マレーシアと並ぶ多発感染国となっている。
こうした中、バンコクの中心部で3月31日、タイ国内2店舗目、アジア全域としては11店舗目となる「DON DON DONKI(ドンドンドンキ) The Market 本店」がオープンした。
当日は午前11時から客を招き入れたが、入居する大規模商業モール「The Market Bangkok」のテナントの大半がタイ政府の非常事態宣言を受け休業中。ドンキ自身も、集客の目玉としていた出来たての料理が食べられるイートインスペースを休止とするなど、不自由な中で初日を迎えた。