さて、株式市場の反応は宣言が確実視された6日(月)も宣言当日の7日(火)も、概ね好意的なものだった。日経平均株価は、6日には756円高(+4.24%)、7日にも373円高(+2.01%)と上昇し、7日の終値は1万8950円だ。

 相場外の常識に従うなら「緊急事態」は「大変なこと」なのだから、株価が下がると考える人がいてもおかしくない。しかし、事態が「大変なこと」なのは既に知れわたっている。緊急事態宣言で政府の対策が一日でも早く、あるいは少しでも余計に進むなら好ましい変化だ。そして何よりも、緊急事態宣言の内容が明らかになって不確実性が一つ減ったことが、市場参加者には大きい。予想されていた事態が現実に起こって、一般常識の反対側に株価や為替レートが動くというのは資本市場ではよくあることで、むしろ典型的だ。

 また、日本の緊急事態宣言には関係ないが、6日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1627ドル高(+7.73%)と急伸した。こちらは、主に欧米で新型コロナウイルスの感染者数や死者数の増加が鈍化したことを評価したものだ。世界の資本市場は、「コロナ後」のチャンスを既に探り始めている。

 新型コロナウイルスの影響が及ぶのは経済活動の停止と需要の消失だが、戦争や大災害とは異なり、生産設備は大きなダメージを負っていない。そのため、感染症の問題が収束すると経済が急回復するという期待が持てる。日本の経済対策は相対的に貧相だが、欧米の経済対策は大規模なので、経済活動が再開できるようになると需要が急回復する可能性がある。

 一方、感染症の長期化や近い将来の再流行の可能性のほかにも、今回の経済停滞が金融機関の財務の健全性を大きく損なった場合に、信用収縮から「二次被害」が出る可能性がある。従って、「株価は底打ちした。後は買うだけだ!」と手放しで強気になることができる状況でもない。

 ただし、金融システムの問題に対しては、財政支出の拡大を伴った「MMT(現代貨幣理論)的」ともいえる量的金融緩和の拡大に加えて、銀行への資本注入や国有化などの手段がある。そのため、リーマンショック後のような不良債権による不況には陥らないだろうと考えられる。理屈上、財政・金融政策の制約になるのはインフレだが、先進国の物価上昇率は十分低いので、当面問題にならない。

 値動きから見る限り株価はまだまだ不安定だが、強弱の材料は徐々に拮抗しつつあるように見受けられる。

 さて、こうした状況下で、お金を運用している個人は、どのように考えて行動したらいいのだろうか。お金の扱い方に関して、「原則は共通で、誰でも同じ」ではあるのだが、今回は個人の状況で分類してみた。