入国者に求められる
多くの手続き

 たしかに今回の感染拡大の中で、上海の感染者数は決して多くなかった。

 だが、海外からの入国者数の増加に伴い、上海でも感染者増加の懸念が高まりつつある。上海はまだ「都市封鎖」の措置は取られていないが、入国者に対する制限は強化されている。

 上海市は3月23日、日本を「感染対策重点国家リスト」から削除し、日本から上海に入国する人については、「感染がなければ、隔離観察は必要ない」としていた。

 ところが、そのわずか3日後の3月26日、海外から上海に入国する全ての人員を一律、自宅で14日間隔離することを発表。2日後の3月28日から、上海に入国する全員を一律、指定施設で14日間隔離することになった。なお、隔離期間に発生した宿泊費や食事代などの費用は自己負担である。

 こうした中、中国全体としても入国規制を強化している。政府は3月28日以降、外国人に対して発行されたビザや居留許可を無効にした。外国人が中国で必要な経済貿易などの一部分野については、ビザ申請はできるものの審査は遅くなっているようだ。

 では、実際に中国での入国規制はどれほど厳しいものなのか。

 趙学州(仮名)さんは日本在住の中国人だ。3月15日に上海に戻り、その際、感染症対策を自ら体験することになった。

上海浦東空港
上海浦東空港では入国者を各区の担当者がシャトルバス乗り場まで誘導している

 趙さんが乗った飛行機が上海浦東空港に到着すると、検疫官が機内に入ってきて、全ての乗客に対し、「健康申告カード」に実態通り記入するよう求めた。その際、「虚偽の記載をすると法的責任を取ってもらいます。悪質なものについては刑事責任を追及します」とも言われ、少し驚いた。

 とはいえ、検疫と通関手続きは1時間もかからなかった。

 具体的にはまず、携帯電話を使い上海市の行政手続き専用アプリにQRコードで登録し、個人情報を入力。続いて防護服を着た検疫官の質問を受け、個人情報を記載した「健康申告カード」をチェックされる。趙さんは健康上の問題はなかったため、その後、トランクケースを受け取りにいった。

 荷物を受け取り終わると、空港の係員が乗客の行先ごとにグループ分けする。乗客は各区行きの専用シャトルバスに乗ることになる。もしくは、乗客本人が手配した自家用車を選択することもできるが、乗客を出迎える人が同居者であることを求められる。

 趙さんの自宅は上海市の長寧区にあるため、長寧区のシャトルバスに乗ることにした。