7日の緊急事態宣言発令を前に、鉄道の減便報道が出るなど、情報が錯綜した。実際には最終電車の時間繰り上げが検討されている模様だが、全時間帯での減便ほどではないにしても、やはり終電に乗客が殺到する危険性は残る。「外出の抑制」と「最低限の経済活動維持」の両立には、非常に慎重な判断が求められる。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

「鉄道減便」巡る
情報が錯綜

4月に入っても通勤する人は多い
むやみな便数減や終電時間繰り上げは、逆に電車内をさらに混雑させる恐れがある。難しい舵取りである Photo:AA/JIJI

 7日夜、ついに改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令された。対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県。期間は1カ月程度を見込んでいる。

 政府は緊急事態宣言を出しても、海外のような都市封鎖(ロックダウン)を行うことはなく、必要もないというのが専門家の見解だとして、公共交通機関や食料品店はこれまで通り営業を続けると強調する。しかし、政府が緊急事態宣言発令の意向を固めたと報じられた6日は、公共交通機関の運行について情報が錯綜する一幕があった。

 発端となったのは、同日の産経新聞の報道だ。「独自」と銘打ったこの記事は、緊急事態宣言発令に伴い、政府が不要不急の外出を抑制するために、首都圏などの対象地域で鉄道会社に対する減便の要請を検討していると報じた。具体的には4月13日以降、当面の間、平日も土休日ダイヤで運行し、終電も繰り上げるというもの。その後、通常の最大5割程度に列車本数を間引きした臨時ダイヤに移行。新幹線なども5割以上の減便を検討する方向で、JR東日本などと検討を開始しているという具体的な内容だ。

 このニュースに対し、自民党の武井俊輔議員は「現段階では検討されていません。誤報と捉えて間違いはありません」とツイート。東京都の小池百合子知事も同日夜の会見で、緊急事態宣言発令後も公共交通機関は通常通り運行すると強調し、火消しに努めた。

 当の産経新聞はその後の記事で、都営地下鉄を運営する東京都交通局の「減便の要請があれば減便の検討を行う。要請がなければ交通機関の維持を目指す」、JR東日本幹部の「国や自治体からどんな要請があるか分からないが、宣言が出ても医療従事者ら鉄道を必要としている人はいる。電車を動かすという責務がある」といったコメントを紹介するなど、ややトーンを落として報じている。

 ただ、その後も時事通信などが、歓楽街のナイトクラブなどでクラスター(感染集団)が発生することを防ぐために、政府が対象7都府県の鉄道事業者に対し、終電時間の繰り上げを求める調整に入ったと報じた。政府が鉄道の運行に対し、何かしらの要請のための準備をしていることは間違いなく、産経新聞の報道は、その観測気球だった可能性もあるだろう。