フレームワークとは「思考の枠組み」のこと。元マッキンゼーで、現在は経営者へのエグゼクティブコーチング、人材戦略コンサルティングを行う大嶋祥誉氏が、新刊書『超速フレームワーク』を上梓。本書からの抜粋で、本当に使える実用性・汎用性の高い鉄板フレームワークをわかりやすく紹介していく。今回は、課題を体系的に「漏れなく、ダブリなく」整理し、根本的な原因と具体的な解決策を発見するために有効なフレームワーク「ロジックツリー」について。
「ノー残業デー」が
解決策にならない理由
今回は皆さんが抱えている、さまざさまな「問い」「課題」に対して、それを解決するために何をしなければいけないか、どのような思考・行動をすればいいのかを見ていきます。
ビジネスシーンでも日常生活でも、問題がなかなか解決しないのは、問題の背景や構造が明らかになっていないことが原因のひとつに挙げられます。
たとえば、ある企業で「残業が多い」という課題があったとして、短絡的に「『ノー残業デー』をつくろう」という解決策を考えたとします。
この解決策で効果が出る場合もありますが、本当の問題点や問題の構造を把握していないと、「今日はノー残業デーだから残りは明日に回して、明日、残業しよう」「今日は残業ができない日だから、仕事を持ち帰って自宅で仕上げよう」など、ほかの日の残業やサービス残業が増えるだけといったケースも見られます。
人員に対して仕事の絶対量が多ければ、残業時間を減らすことは容易ではありません。みかけ上の残業時間が減っても、1人あたりの仕事量は変わらないからです。