どの職場にも“クセ”のある人がいるように、毎年入社してくる新入社員の中にも一定数、厄介な“クセ”を持った人はいます。新人だからといって油断してはいけません。危険はあなたや、周囲にまで及びます。全く身に覚えのない言いがかりや、立場をわきまえない物言いであなたを巻き込み、今まで築き上げてきた社内外の人間関係を崩壊させるケースもあります。そんな「危ない新人」には、いったいどのように接したらいいのでしょうか。3つの対処法を解説します。(ストレス・マネジメント研究者 舟木彩乃)
春は「危ない新人」との出会いの季節
4月に入ると多くの会社で入社式が執り行われ、新年度がスタートします。新入社員にとっては社会人生活が始まる季節です。期待に満ちた思いと「うまくやっていけるだろうか」という心配が入り交じり、緊張感のある時期ではないでしょうか。
このような心境になるのは新入社員ばかりではありません。新人を迎え入れる企業の側も楽しみと不安が入り交じっていることが多いでしょう。前向きでフレッシュな新人を迎え入れる上司がいる一方で、攻撃的で危険な新人に振り回され、苦労する上司も続出しています。
今回は、実際にあった2つのケースを紹介したいと思います。
ケース(1):渡辺さんが出会った危ない新人
「裏の顔を持つ“天然ちゃん” 」
渡辺さん(30代後半・男性)は、大手PR会社の法人営業部でチームリーダーを務めています。配属された2人の新入社員Aさん(20代・女性)、Bさん(20代・女性)のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング。職場内訓練)を担当することになりました。
入社して数週間ほどすると、それぞれのキャラクターが見え始めてきました。Aさんは大学時代に複数のミスコンに出場していた経歴の持ち主で、流行を取り入れた派手なメイクや服装を好む華やかなタイプです。“天然ボケ”のような要素もあって同僚から“天然ちゃん”と呼ばれ、親しみやすく話題の中心になる印象でした。一方のBさんは、協調性を備えながらも良い意味で淡々としていて、仕事を覚えていくことに楽しさを見いだすタイプでサバサバしている印象でした。
渡辺さんはOJTの一環で、2~3日に1回のペースで30分程度、新人2人とミーティングの時間を取り、報告や質問を受けていました。そのミーティングでは、新人2人の時間配分が平等になるよう配慮していましたが、いつの間にか“天然ちゃん”であるAさんが中心になってしまうことが増えてきました。