WHOのテドロス事務局長Photo:Reuters

 ドナルド・トランプ米大統領は14日、世界保健機関(WHO)への資金拠出の一時停止を決めた。この行動は、米国の支援は当然と考えていたWHO幹部らの思い上がりを打ち砕くはずだ。堕落したWHOによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の失敗について米当局が調査する間に、WHOが米国の信頼を回復するために必要なおおまかな道筋を米政府は示せるだろう。

 トランプ氏は60~90日間資金拠出を止めることを決め、「WHOは基本的責務を果たせなかった。その責任を問われなければならない」と語った。トランプ氏はさらに、もしWHOが本来の仕事をしていれば「何千人もの命が救われ、世界経済全体への打撃も避けられただろう」と強調した。大統領の指摘は誇張ではない。

 危機の最初の段階からWHO幹部らは、客観的であるべき公衆衛生上の勧告に、政治的配慮という色付けが加わることを容認してしまった。早期の渡航禁止措置に反対し、「世界的に懸念すべき公衆衛生上の緊急事態」の宣言を遅らせた判断は、とりわけ致命的だった。中国は怪しげなデータを提供し、国内で真実を伝えた人々を罰していたが、WHO当局者らは、中国政府に対し透明性を高めるよう求めるのではなく、中国の主張をそのまま伝えた。

 何からも影響を受けずに公衆衛生面の勧告をし、協調して国際的な病の流行に対処する有能な国際機関を世界は必要としている。しかし、近年のWHOの活動の焦点は本来の任務から外れてきており、政府が運営する医療制度の推進や、たばこ会社への攻撃に無駄に資金を費やしている。