また、L&Gグローバルビジネスでは、経営する関連会社のCHILLNNが開発し、今年完成予定だった宿泊予約プラットフォームの一部機能を先んじて公開し、他社のホテルや旅館が活用できる環境を整えた。その上で、「未来に泊まれる宿泊券」として、前売りで予約券を販売するサービスを開始した。

 同じく厳しい経営状況にある宿泊施設が、少しでも足元のキャッシュを確保できるようにと始めた取り組みだ。サービス開始前の段階で、すでに30~40社ほど申し込みがあったという。

 まずはなんとか事業を継続させるため、ホテル業界においても業界全体で奮闘する日々が続いている。

ウイルスとの戦いは長期化必至
「持続可能な取り組み」が急務

 新型コロナウイルスの感染拡大について終息のめどが立たない。また終息しても、いつ消費が戻ってくるのかは分からない。そうした中で今求められているのは、「持続可能な取り組み」だ。

 前出の前売り券の販売を行うトラットリア ラ タルタルギーナの濱崎氏も、前売りによる収益は「長い目で見れば期待し続けることはできない」と不安を漏らす。サービス提供はコロナ危機の終息後になるため、おのずと購入する頻度や顧客数が限られてくる。

 短期的には「前売り」での資金確保が店の延命につながるが、影響の長期化を見据えると、テイクアウトやデリバリーなど、「来客がなくても売れる仕組み」づくりが急務である。コストを抑えながら、いかに売り上げをつくることができるか。正攻法がかなわない中で、業界は新たな稼ぎ方を模索する。

 そうした新たなビジネスを支援する取り組みも始まっている。

 飲食店向けの予約管理システムを手掛けるテーブルチェックでは、同社の事前予約・決済システムを活用したテイクアウトやデリバリー受付機能などの無償提供を開始した。受付時間や販売数などを制限することで、仕入れ数や店舗人員の状況に応じたサービス提供も可能になるという。

 また、飲食店が存続のためにやむを得ず始めたデリバリーやテイクアウトなどのサービスが、新たな市場開拓につながることもある。

 通常、2万5000円のコースのみで営業していたあるすし店では、4000~5000円の価格帯でちらし寿司のテイクアウト販売を始めた。すると、これまで同店を訪れたことのない新規顧客からの注文が相次いだという。

「デリバリーやテイクアウトには、これまで格式が高過ぎて入れなかったところへのハードルが下がったり、小さいお子さんがいる家庭も気楽に利用できたりといったメリットもあります」(テーブルチェック代表取締役・谷口優氏)

 ウイルスの影響が長期化することを前提とした事業活動が必要であるという状況をふまえ、「withコロナ」という言葉もささやかれ始めた。さまざまな業界で、通常のサービス提供がかなわないことを前提とした、新たなビジネスの形が模索されている。