新型コロナウイルスの感染者数と
検査数との関係

 検査数を増やすべきという意見が強くなっているが、ここでは最初の疑問、検査数が少ないから感染者数が少ないのかという問いに戻る。

 この問いについて考える前に、ここで用いるデータの説明をする。感染者数とは、PCR検査で陽性となった人の数。患者数とは、感染者数から無症状病原体保有者と確認中の数字を差し引いたものであったが、途中から、感染者数≒患者数となった。ここで用いているデータでは、感染者数≒患者数、もしくは感染者数=患者数となっている。PCR検査人数とは、PCR検査を行った人の数である。重複は排除するため1人に複数回検査を行なった場合は「1」とカウントしている。なお厚生労働省は「疑似症サーベイランスの枠組みの中で報告が上がった数を計上しており、各自治体で行った全ての検査結果を反映しているものではない(退院時の確認検査などは含まれていない)」としている(さらに詳しくは本稿最後の付注のデータ元の説明を参照)。

 以上のデータにより、まず、素朴に

感染者数=a+b×検査数

 という式を推定して、検査数が増えるほど感染者数が増えるという関係が見いだせれば、検査数が少ないから感染者数が少ないのだと結論付けることができるような気がする。

 図1は、検査数と感染者数と感染者数/検査数を時系列で示したものだ。初期には感染の可能性が特に高い者を検査していたが故に検査数に占める感染者数の比率が高かったが、検査体制が整った3月初めからは比率が低下していた。しかし、最近は比率が上昇、高止まっている。

 一般的に言って、感染者数の真の値があって、それが変化しないのであれば、検査数が増えるほど感染者数が増えるというこの図から、検査数が少ないから感染者数が少ないと結論できる。しかし、感染者数は時間とともに増大していき、それに応じて検査体制を強化し、検査数を増大させている。そのため、検査数が少ないから感染者数が少ないとはいえない。つまり、時間とともに感染者数が多くなるデータでは、この方法では検証できない。