「感染者ゼロ」主張を
世界が無視するのはなぜか

毎年メーデー(5月1日)に行われる外国人も参加できる運動会も今年は厳しい

 首都平壌には世界保健機関(WHO)の連絡事務所があるのだが、北朝鮮が感染者ゼロと報告し続けていることについて、隠蔽しているのではないか、との疑念がある。北朝鮮の矛盾を指摘する研究者もいる。

 北朝鮮は、医学的監視対象者が7000人いると『労働新聞』(3月1日付)などの官製情報で発表していた。なのに新型コロナウイルス感染者がゼロなのは、資金的問題、あるいは、PCR検査等を行う器具不足や、技術などの問題で感染者を特定することができないのではないか。もし、「ゼロ」主張を貫くのであれば、医学的監視対象者数をわざわざ発表するのはおかしい。医学的監視対象者もゼロでないと矛盾するという指摘だ。

 実際、韓国の脱北者団体を中心に、すでに北朝鮮でも蔓延して多くの感染者、死者も出ていると発信しているものの、周辺国やアメリカなどの関心は低く、調査徹底を求める声なども上がっていない。

 その理由は、各国が自国の新型コロナ対応だけで精いっぱいで、北朝鮮へ目を向ける余裕がないことが最も大きいが、もう1つは、海外へ渡航する北朝鮮人がほとんどいないため、北朝鮮人から感染が広がるリスクが皆無であり、関心がないのだろう。

 昨年12月21日の国連制裁履行で、北朝鮮国外のすべての労働者が帰国させられている。制裁の抜け道を使って国外に滞在している北朝鮮人もいるが、現在、引き続き滞在しているのは、北朝鮮人を労働者として重宝する中国とロシアが主とみられる。

 そのため、北朝鮮当局による新型コロナ感染者の発表が0人でも1万人でも、周辺国やアメリカへの感染リスクはほぼゼロのため、主要国は、「ゼロはおかしいだろう」といったツッコミは入れず、さしたる関心を示さないわけだ。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))