父の好物を通夜振る舞いに…
DIY葬儀の原点

 松本氏は3年前に父を亡くして喪主を務めた経験があり、『DIY葬儀』を執筆するきっかけになったという。

「当時、葬儀の知識は一切なかったので『まず何をすべきか』が、わからなかったんですよね。結局、ネット系の葬儀社にひっかかってしまい、言われるがまま葬儀をして僧侶を呼びましたが、疑問に思うことも多々ありました。事前に葬儀の大まかな流れがわかる本があれば、もっと違う形で父を見送れたのにと感じました」

 悔いが残る葬儀ではあったが、そんななかでも、通夜振る舞いの食事は“父が好きだった老舗うどん屋の弁当”を持ち込み、こだわりを貫いたという。松本氏は「無自覚のうちに葬儀の一部をDIYしていました」と、当時を振り返る。

「父はとても食にうるさい人で、葬儀社と提携している飲食店の仕出し弁当などはひと口も食べないタイプでした。なので『自分の通夜振る舞いや精進落としが仕出し弁当だったら、父は嫌がるだろうな』と、故人の気持ちが想像できたんです。しかも、食事代は葬儀社の葬儀費用に含まれていなかったので、父が好きだった店の味にしようと考えて、自分で弁当を発注しました」

 松本氏の持ち込み弁当は参列者からも好評で「生前はお父さんとこのお店に行ったことがあるよ」など、思い出話に花が咲いたという。この経験が「DIY葬儀」の原点になっている。

「葬儀費用を安くするという部分が注目されがちですが、DIY葬儀には“自分らしく故人を見送れる”というメリットがあります。実際の例では、ワイン好きだった故人のために、告別式の代わりに、知り合いを自宅に呼んでワインパーティーを開いた人もいます。パーティー会場には祭壇もなく、僧侶もいませんが、故人への深い愛を感じますよね」

 松本氏は「気が引けるかもしれませんが、両親に理想の葬儀について聞いてみると意外なリクエストがあるかも」とアドバイスを送る。賢くお金を使いつつ、故人の想いをくんだお別れをするDIY葬儀が、葬儀のスタンダードになる日も近い?