盆暮れ正月、墓参り、加えて日頃の墓掃除など、墓守をする大変さを知る人も多いだろう。そんななか、経済的な理由や墓の管理が十分に行えないという理由から、「墓じまい」をする家庭が増えているという。(清談社 真島加代)
経済的負担を軽くする
「墓じまい」
かつて先祖が眠る“墓”は、子どもたちが受け継いでいくものだった。しかし近年、墓と家族の関係に変化が起きているという。なかでも、注目を集めているのが「墓じまい」だ。
「『墓じまい』とは、代々受け継がれているお墓を撤去し、先祖の遺骨を近場に移したり、永代供養の墓地に改葬したりすることを指します。永代供養とは、その名のごとく寺院や墓地に遺骨を預けて“永代にわたって供養”してもらうことです」
そう話すのは、遺産相続無料相談センターを運営する宇田川宜功氏。同センターへの墓じまい相談件数も増えており、厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、改葬数、いわゆる墓じまいの件数は平成25年度に8万8397件、平成30年度には11万5384件と増加傾向にある。
「寺院に墓がある場合、お寺にお布施という形で墓の維持費を支払います。しかし最近は墓の維持費が家計の負担になることから、永代供養墓地へ移して費用を抑える家庭も増えています。また、地方の過疎化によって子ども世代は都市部に出ている場合が多く、地方にある墓地に行けなかったり、お盆でも地元に帰省しなかったりと、家族にとって墓の存在そのものが重要でなくなったことも、影響しているようです」
墓参りは、ただ参るだけでなく親類が集まる口実でもあったが、家族や親戚関係が希薄になった現代では墓の存在意義も変化している。宇田川氏は「墓じまいは経済的なメリットが大きい」と話す。
「墓じまいをすることは、お墓がある寺(菩提寺)の檀家ではなくなる『離檀』を意味します。そのため、お墓の維持費がいらなくなるだけでなく、亡くなった際の葬儀にかかるお布施の金額も大幅に抑えることができます」