世界のエネルギー市場の混乱が続く中、米国の共和、民主両党の政治家らは、石油が単なる市場取引商品(コモディティー)の1つではないことを思い起こすべきだ。1914年にウィンストン・チャーチル氏が海軍大臣として、英国艦隊の燃料を石炭から石油に転換した時から、石油の調達は軍の立案担当者や世界の指導者らの最大の関心事の1つとなってきた。1941年に日本が対米戦争開始という破滅的決断を下した背景にも、米国の禁輸措置に伴う石油供給面の懸念があった。アドルフ・ヒトラーがドイツ国防軍をコーカサス地方に進軍させることになった要因も、石油の必要性だった。これにより、拡大しすぎた戦線と乏しい補給の下に置かれた同軍は、スターリングラードでソビエト赤軍の猛攻にさらされることになった。