保険を見直してみる

 日本では定額保険と終身保険を組み合わせた定期付終身保険がこれまで最も普及しています。これは、例えば65歳までは死亡したら数千万円の保険金を受け取れますが、65歳以降は終身保険部分の数百万円しか受け取れないという保険です。また保険金額を一定としているため、加齢により死亡率が高くなる分、定期更新のたびに支払う保険料が上がってしまうという商品性となっています。

 この「保険金額を一定とするため」というのがポイントです。冷静になって考えてみると、保険金というのは被保険者が亡くなった場合に、その人が将来稼ぐはずであった給与収入分を保険金として受け取り、その後の生活の足しにするというのが合理的な考え方ではないでしょうか。当然ながら、加齢とともにこの先の働く期間も短くなるため、将来に稼ぐ給与収入も減っていきます。ここでピンときた方もいるかもしれません。そうです、この将来の給与収入というのは前述の“人的資本”のことなのです。つまり、合理的に考えれば、加齢に伴い“人的資本”が減少するならば、保険金額を減少させてもよいのです。にもかかわらず、実際は、定年退職まで同じ金額の保険金額を設定している人が多いですが、これは明らかに保険金のかけすぎであり、結果として高い保険料を払い続けていることになっています。これは一例ですが、このように保険を見直すことで、老後の資産運用の資金を捻出してはいかがでしょうか。

 以上、今回は三つの実践してもらいたいことを挙げましたが、このような理論的に正しい金融行動は、説明されれば理解できるものの、行動に移している人が少ないのが現状です。一方、老後が長くなり、公的年金が徐々に減額されていく今、老後の資産形成は待ったなしです。年初に何かをやろうと決意したあなた、まずは一つでもよいので実践してみてはいかがでしょうか。

今回の川柳
年初め 老後資産の 事始め

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。