ネットカフェの休業は、緊急事態宣言直後の週末が明けた4月13日の月曜日に開始された。その時点では、寝泊まりする場を失う人々の全員に対して別の場を提供する態勢は、確保されていなかった。

窓口はどこ?なぜ広報しない?
東京都の不可解な対応

 その後も、東京都の不可解な対応は続いた。

 せっかくの借り上げビジネスホテルについて、東京都は積極的な広報を行っているとはいえない。たとえば、ゴールデンウイークに突入した4月30日、東京都保健福祉局は以下のツイートを行っている。

「インターネットカフェ等で寝泊まりしながら不安定な就労に従事している方や離職されている方で、新型コロナウィルスに関連して、生活や住居の相談を希望する方はTOKYOチャレンジネットにご相談ください」

 このツイートから「TOKYOチャレンジネットに行けば、とりあえず寝泊まりできる場所を紹介してもらえる」というメッセージを読み取るのは、至難の技だろう。

 公務員は法律に従って業務を遂行する存在であり、法律の基本的な考え方は「あなたが知らずに損失を被るのは、知らないあなたの自己責任」である。しかし、自治体が制度を運用するにあたっては、存在が知られるように広報する必要がある。さらに、利用しやすく手続きを簡素にする必要もある。

 間違っても「利用できないかもしれない」と誤解させたり、「利用して生き延びると、その10倍くらい恐ろしいことが起こるかもしれない」と尻込みさせたりしてはならない。これは、人権に関する国際法、各国の法令、各自治体の条例にまで共通する基本原則である。この観点からも、東京都の対応には疑問が持たれる。