感染者数減少の因果関係を
説明できるシンプルな数理モデル

 ではなぜ、感染者が減ってきたのかを因果関係で説明しましょう。

 実際に、国内の新規感染者は減っています。緊急事態宣言発令直後には1日600~700人レベル、4月中旬は1日400人前後だったところから、4月下旬には1日平均200人レベルへと減少しました。ただ、28日が279人、5月1日が284人、5月2日が291人と、ちょうど政府が緊急事態宣言の延長を検討するタイミングだけ新規感染者が増加したのは、若干不思議です。

 そして緊急事態延長決定後の5月5日以降は、むしろ1日あたり100人前後に新規感染者数は急減している。一番感染がひどかった東京都でも、すでに10日連続で2ケタが続き、直近では新規感染者は30人前後まで減っています。

 なぜ感染者が減ってきたのかは、数理モデルから説明可能です。私は経営コンサルタントとしては未来予測を専門にしていて、4月20日時点でクライアントに対し、「5月20日には感染者が100人を切るようになるので、緊急事態宣言が続いていたとしても、いつでも事業をリスタートできるよう、準備をしたほうがいい」とアドバイスしていました。そのときに私が使っていた数理モデルは、北大の西浦先生とは違うごくごくシンプルな以下のようなものでした。

 ●2週間後の新規感染者数=現在の新規感染者数×[基本再生産数×(1-自粛率)]

 基本再生産数というのは、1人の感染者が何人に感染させるのかという数字であり、新型コロナに関して言えばWHO(世界保健機関)は「1人の感染者は平均で直接1.4~2.5人を感染させる」と発表していました。この数字に接触率、つまり(1-自粛率)をかけたものが、実効再生産数を表す数式です。

 言い換えると「今日発見された新規感染者がうつしてしまった人の数が、2週間後の統計に反映される」という非常に簡略化した数理モデルです。シンプルではありますが、4月8日に緊急事態宣言が発令され、1日の新規感染者数が600人前後に増えたところから4月下旬までの減少傾向は、実はこのモデルと大体一致します。