製薬会社が新型コロナウイルスの治療薬の発見を競う中、大手投資会社は勝者を巡って注意深い賭けに打って出ている。企業や経済の未来予想を仕事とするヘッジファンドやベンチャーキャピタル(VC)会社は、コロナ・パンデミック(世界的大流行)に対抗できる有効な薬が開発される可能性に自信を深めつつある。しかし、数百万人、あるいは数十億人を救い得る取り組みが成功しても、株主にとっては大きな利益にならないかもしれないと投資家は主張している。中には、コロナ感染症の治療薬開発を巡って過度の期待を集めているとみなす製薬会社に対し、負けを見込んだ賭けをしている人たちもいる。「株価のほとんどは現実を反映していない」。運用資産42億ドル(約4505億円)のヘルスケア専門ヘッジファンド、パーセプティブ・アドバイザーズを運営するジョセフ・エデルマン氏はこう話す。同社では、米ギリアド・サイエンシズなどの製薬会社の株価と治療薬やワクチンから得られる潜在利益との乖離(かいり)に注目している。