中古マンション中古マンションの4月の成約数が、前年同月比で半分以下に落ち込んだ。バブル崩壊はあるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 中古マンションの4月の成約数が、前年同月比で▲52.6%と半分以下に落ち込んだ。ちなみに3月は▲11.5%と、やや減少に留まっている。バブル崩壊を予見させる市場の急変に、皆が戦々恐々となっているであろうこのタイミングで、マンション市況の今後の行方を占いたい。

コロナショックで
不幸中の幸いだった住宅業界

 新型コロナの国内累計感染者数は、2月から本格的に増え続け、5月20日時点で1万6385人となっている。株価は2月の下旬から下落基調になった。株と同様に市場で取引されるJ-REIT(日本版不動産投資信託)においては、1カ月でホテル・商業系は半額になった(現在はそこから2割程度戻している)。

 住宅REITの株価は10%台の下落にとどまり大きな影響を受けなかった。それは収益源が家賃収入で、住宅の家賃は不動産の中でも最も動きが少ないものだからだ。大きく上げない代わりに、下げ幅も小さいのが住宅の特徴である。

 住宅業界において不幸中の幸いは、今回のタイミングである。緊急事態宣言の発出は4月7日であり、3月に集中する人の移動の繁忙期を過ぎていた。このため、新卒で就職する人や転勤・異動の人は予定通り引っ越しをほぼ終えることができた。住民基本台帳上の人口移動も、例年並みの移動があったことを報告している。

 賃貸住宅の転居であれば、「来週から住み始めたい」というのは可能だ。しかし売買の場合、契約をしてもすぐに引き渡しにはならない。おおよそ1カ月程度の期間が必要になる。

 賃貸との違いは、住宅ローンによるところが大きい。銀行から借り入れをするための本審査を行い、実行日を決め、その日に司法書士を手配して登記をしなければならない。資金決済と物件の引き渡しを同日で行うため、売主・買主・司法書士・仲介業者など全員が顔を合わせる前提でスケジューリングを行うことになる。