中国で逼迫する豚肉価格
世界で豚肉爆買い
新型コロナウイルス感染の心配はまだ完全に解消していないが、感染拡大が一応は抑えられた中国では、急速に日常的な話題が人々の関心を集めるようになった。その1つは豚肉の供給事情だ。
近年、豚コレラのまん延で、中国の養豚業が大打撃を受け、豚肉の価格が暴騰していた。食肉のメインが豚肉である中国では、豚肉の暴騰が国民の食卓を直撃するので、人々の生活への影響が非常に大きい。
この影響は意外にも海を隔てた日本でも一端を感じられる。
最近、東京江東区の亀戸駅に近い商店街に立ち寄ったとき、中国から輸入された冷凍餃子を買って帰ろうかと思っていると、顔見知りの商店経営者に呼び止められた。
「この頃、中国では豚肉の価格が高騰しているので、餃子に使われる豚肉があまりいい肉ではないのではないかと心配している。買わない方がいい」
中国の豚肉供給不足事情は、豚肉の緊急輸入に至ったことからも深刻さが分かる。昨年中国は豚肉価格を安定させるために、さまざまな緊急措置を取った。その1つは海外から前年度比75%増の210万トンもの豚肉を輸入したことだ。2020年には、国内需要を満たすため、豚肉の輸入をさらに拡大する方針を早くも打ち出した。世界経済への貢献度も考え、商品の輸入拡大に努めている中国は、20年に850品目余りの輸入品の関税などの費用を引き下げた。そのうち冷凍豚肉の輸入関連の費用は、これまでの12%から8%に引き下げた。
現在のところ、中国は主に欧州連合(EU)や北米、南米などから豚肉を輸入している。EUの関連委員会の統計データによれば、19年1~9月にEUはすでに337万トン近くの豚肉を輸出しており、そのうち46%は中国に輸出しているという。
中国の旺盛な豚肉需要はEUの豚肉価格を上昇させている。ドイツの業界関係者によると、ドイツの豚肉価格は上昇を続けており、19年12月には過去最高値となる1キロ当たり2.26ドルに達した。19年初めに1キロ当たり1.51ドルだったのを考えれば、約50%もの上昇になったのだ。
同様に中国への輸出に力を入れているブラジルでも、豚肉の輸出価格が19年7月に1キロ当たり1.35ドルと70%も急騰している。