開催スタイルが新鮮!
クラウド読書会の出演を引き受けた理由
上海には、日中間の交流促進をモットーとする「中日分会」という団体がある。先日、この中日分会から4月25日の夜に開催を予定されている「雲読書会」への出演要請がSNSを通して届いた。私は中日分会の仕事を手伝っているので、躊躇せずに引き受けた。雲読書会は日本流に言えば、「クラウド読書会」のことだ。
引き受けた理由はそれだけではない。もう1つの大きな理由は、今回のテーマに関心を持っているからだ。上海の日本問題研究家・沙青青氏がつい最近、米社会学者エズラ・ヴォーゲル氏の著作『日本還是第一嗎』(原題:Is Japan Still Number One?」。邦訳はさしずめ、「日本はまだナンバーワンか?」となる)を翻訳・出版し、クラウド読書会では私と在日メディア関係者の徐静波氏が、沙青青氏を囲む形で鼎談を行うことになった。
ご存じのようにヴォーゲル氏は、1979年に出版され一世を風靡したベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(原題:Japan as Number One: Lessons for America)の著者だ。2002年、NHKスペシャルシリーズ「地球市場 富の攻防」の「第2回 メイド・イン・チャイナ 中国の戦略」を取材したとき、米国でヴォーゲル氏を訪問したことがある。
当時、世界第2位の経済大国としての日本はすでに方向感を失い、迷走していた。一方、中国は凄まじい経済成長の勢いに乗じて、日本を猛烈に追いかけていた。ヴォーゲル氏に対するインタビューは、むしろその中国に重点を置いた。
インタビューの中で一番印象に残っているのは、「日本を研究していた米国の専門家や学者は、今やどんどん中国研究に関心を傾けるようになっている。私もその1人だ」というコメントだった。
こうした体験をしているから、私は自然に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の続編ともいえる『日本還是第一嗎』つまり、「日本はまだナンバーワンか?」という本の中国での出版に対して、大きな関心を持っているのだ。面白いことに、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』があれだけ愛読されている日本では、この続編になるはずの本は翻訳・出版されていない。そのへんの事情もなかなか考えさせられ、興味深い。