新型コロナPhoto:PIXTA

韓国と中国で高まる
第2波感染の懸念

 4月、韓国では、いったん新型コロナウイルスの感染拡大が一服したかに見えた。総選挙に勝利し左派政権の基盤強化を達成できた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「自らの感染対策は世界標準であり、同国が世界をリードする」と強調した。それに伴い韓国政府は経済活動を再開したが、5月に入りソウルのクラブで集団感染が発生した。国民の間でも、新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」への懸念が高まっている。

 中国でも、同じような事態が起きている。5月9日、吉林省で11人の感染者が報告され、同省の警戒水準は最高レベルに引き上げられた。これもウイルス感染拡大の2波になりえるかもしれない。共産党政権は、社会心理の安定に神経をとがらせざるを得ないだろう。

 一方、欧州では英国の感染拡大の状況が深刻だ。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは、ジョンソン政権が目指すイギリス全土での行動規制緩和が時期尚早として反発しており、英国内の分裂懸念すら高まっている。米国でも、早期の規制解除を目指す各州の知事と、それに反対する医療専門家などの間で軋轢(あつれき)が生じている。

 わが国は粛々と感染対策を行い、何としても第2波の感染拡大を回避しなければならない。経済を立て直すには「2次感染の波」を防ぐことが重要な近道になるはずだ。それと同時に、コロナショックによって、「世界の潮流変化=メガトレンド・チェンジ」がデジタル技術に向かっていることも理解することが必要だ。