中国は21日、香港に「国家安全法」を導入する方針を示唆した。中国当局が反政府デモの封じ込めに注力する中、実際に導入されれば、香港自治への大きな打撃となる。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の張業遂報道官は21日夜に開いた会見で、香港における「国家安全保障を守る法の枠組みと執行メカニズムを確立、強化する」法案について、22日から開幕する全人代で協議すると明らかにした。香港における「一国二制度」を国家レベルから改善することが必要と主張したが、それ以上のコメントは控えた。詳細は22日に明らかにするとしている。中国がこうした措置に踏み込む背景には、時に暴徒化するなど長期化する香港デモに対して、中国の指導部がいらだちを募らせていることがある。香港の立法会(議会)を無視して全人代が法制化を図れば、国際社会の非難を浴びる恐れがあるが、欧米諸国は目下、新型コロナウイルスへの対応で手一杯の状況だ。