長引く在宅勤務にモヤモヤ、「見えない職場」ですれ違う上司と部下
コロナ禍で進んだ在宅勤務ではメリットが実感された一方、「見えない職場」ならではの問題も生じていました Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が在宅勤務に切り替えている。すでに1~2カ月以上にわたって在宅で仕事をしているビジネスパーソンも少なくない。在宅勤務のおかげで通勤時間がなくなる、ムダな業務が明確になるといったメリットが実感されている一方で、部下たちは成果を出すために働きすぎてしまったり、上司は上司で仕事がうまく進まない部下を遠隔でフォローする難しさを抱えていたりと、「見えない職場」ならではの問題も出てきている。現状と課題を追った。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

「見えない職場」で起こる問題

 23時。都内で広告関係の会社に勤務する男性は、自宅でパソコンに向かって企画書を作成している。ただ、勤怠記録上は、すでに「退社」していることになっている。在宅勤務中に勤務時間が長くなると、上司から「本当に仕事しているのか?」と言われてしまい面倒だからだ。勤怠記録を切ってから、夜遅くまで仕事をしている日もあるという。

 業務量の問題があるとはいえ、男性自身にも後ろめたい気持ちがある。在宅勤務中は「集中力が切れたときに、復活するまで時間がかかる」(前出の男性)ため、ついダラダラと仕事時間が長くなってしまいがちなのだ。SNS、動画サイト、テレビ……「在宅オフィス」の環境は誘惑に満ち溢れている。在宅勤務中にメリハリをつけて仕事をする難しさを強く感じているという。

 一方、IT企業で営業事務の仕事をしている女性は、「誰が誰に指示を出したのか分かりづらい」など、在宅勤務のコミュニケーションに課題を感じていると話す。

「私が先輩社員に言われて作業したものを、先輩が自分の手柄のように上司に報告しているようです。在宅勤務が始まる前からそういう兆候はあったけど……在宅勤務によってさらに指示系統が周りから見えづらくなっているなと感じます」(前出の女性社員)

 上司とのコミュニケーションは、毎日チャットツール上で業務報告をするのみ。チャット上で見る上司はいつも忙しそうで、自分のささいな悩みを話すのはためらわれる。

 業務の内容や範囲を明確にしないまま在宅勤務を導入した企業もある。都内のメーカーに勤務する男性は、緊急事態宣言が出て以降、週3~4日は在宅勤務をすることになった。しかし、セキュリティーの関係上、出社しなければできない業務も多く、在宅勤務中は「時間を持て余すことも多い」という。上司から明確な業務の振り分けや指示もない。結果的に、出社する1~2日に業務が集中してしまっており、在宅勤務にやりづらさを感じている。