コロナショックを境に
米国と中国の対立がし烈化
コロナショックを境に、国際社会における米国と中国の対立がし烈化している。WHOをはじめ国際機関において中国が発言力を強めているのに対し、米国のトランプ大統領は脱退をも辞さない強い姿勢を示している。
通商面においても米中対立が鮮明だ。コロナショックによって世界の貿易取引が落ち込んでいることもあり、中国が、第一段階の米中合意である米国からの輸入を2年間で2000億ドル増やすことは難しい。その中、15日に米国は中国のファーウェイへの制裁を強化し、対中圧力を強めた。さらなる制裁の可能性もある。それは、台湾、韓国、わが国など多くの国を巻き込み、世界のサプライチェーンにさらなる混乱をもたらす恐れがある。
安全保障面では、感染の影響から南シナ海における米国のプレゼンス=存在感が低下している。空母セオドア・ルーズベルトは南シナ海を離脱し、対中抑止力が弱まっている。その虚を突いて、同海域や尖閣諸島周辺にて中国が活動を活発化している。
わが国は安全保障面では米国との関係を基礎に、経済では民間レベルでの中国との関係を強化しなければならない。まさに、米中に「板挟み」にされた状態だ。今後の展開と対策を考える際、韓国の過去、および現在の状況はわが国にとって参考の一つとなるだろう。わが国にとって構造改革を進めてIT先端分野などの競争力を高め、国際社会における発言力の向上に取り組む重要性が高まっていることも忘れてはならない。