香港の独立を訴える旗を振る人香港の独立を訴える旗を振る人(24日) Photo:Joyu Wang/The Wall Street Journal

【香港】香港では「国家安全法」を押し付けようとする中国政府の計画に抗議する市民が、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)規則を無視して街頭での抗議行動を再開し、警察は催涙ガスや放水でデモ隊に応じた。

 24日昼、若者を中心とした集団が銅鑼湾(コーズウェイベイ)の繁華街に集まり始めた。中国共産党に抗議するデモの実施を求めるネット上の呼び掛けに呼応したものだ。これまで1カ月ほどは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、抗議行動は沈静化していた。

 警察は何千人ものデモ参加者を追い払うため催涙ガス弾を撃ち込み、その後、放水砲や唐辛子スプレーも使用した。抗議行動は銅鑼湾一帯に広がり、昨年よく見られた光景が再現された。警察によれば、逮捕者は午後5時までに100人以上に上った。逮捕容疑の大半は違法集会だった。

 香港での緊張は、中国政府が21日、香港における国家転覆、暴動の扇動、テロ行為などを取り締まる法制度を一方的に導入する姿勢を示唆したことで一気に高まった。取り締まりの対象には、外国勢力との共謀も含まれていた。中国政府は、昨年の大規模デモをあおったのは外国勢力だと主張している。香港市民の抗議行動は7カ月以上続き、しばしば暴力的となり、景気後退をもたらした。