11月の米大統領選挙まで残り6カ月を切る中、トランプ政権は大惨事、危機、批判に相次いでさらされている。過去100年で最も危険なパンデミック(感染症の世界的大流行)が大恐慌以上に深刻な経済危機を引き起こしている。その経済危機は、病める政治環境、主要同盟諸国の米国に対する信頼感喪失の危機、中国との冷戦開始の恐れといった状況の中で起きている。こんな状況を目にしたことはかつてなかった。普通の大統領ならば、重圧に押しつぶされるだろう。しかしドナルド・トランプ大統領は、今もツイートを続け、ゴルフを楽しんでいる。現在この国と大統領の職務を取り巻いている危機は、彼にとってはある意味、自然な状態とも言える。芝居がかった対応は、これまでも常にトランプ氏の主要な政治手法だった。ポピュリストの造反者的な候補であると同時に、現職大統領でありながら既存のシステムと戦うアウトサイダーとして振る舞うことを望む彼は、対立とドラマの中でこそ成功を収める。